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言葉の鳥と赤い世界

二〇二四年一月二十五日

言葉の鳥と赤い世界

パスの『鷲か太陽か?』を手に取る

二〇二四年一月二十五日。僕は本屋の一番目立つところに置かれていた、オクタビオ・パスの『鷲か太陽か?』を手に取っていた。僕はパスについて無知であったが、ページをパラパラとめくって感じることがあったのか、購入することを決めていた。僕はすぐに読了して、パスのイメージに引きずられたまま文章を書いていたから、その影響がみられるのかもしれない。ちなみに、パスの本のなかで、僕が一番お気に入りに感じていたのは、所収された「出会い」という僕が僕を追いかける文章であり、三度ほど読み返していた。なるほど、二〇二三年八月零日に探偵業をはじめたときの想いと重なり合う。ところで、僕が書いている文章は謎に満ちているが、多分、言葉という鳥を撃つという小さな出来事が、世界を真っ赤に染める大きな出来事へと繋がる膨張を描いているのだと思う。僕はこう書いていた。

オクタビオ・パス『鷲か太陽か?』

山地大樹

言葉の鳥と赤い世界

言葉の鳥に銃を向け、引き金を絞ると鳥が落ちてくる。鳥はジタバタと暴れ回り、生命の飛躍のなかで溺死する。鳥の心臓にはポッカリと穴が開いて、言葉は真っ二つに割れている。《と》と《り》のあいだ、真っ黒な穴が開かれて、なにかを挿し込まれるのを待っている。黒い穴に花を活ける。綺麗な綺麗な白い花。鳥の血を吸いながら、赤よりも赤い赤へと染まる。鮮血の花に蝶が止まる。蜜に飢えた黄色い蝶。血の甘い蜜を吸いながら、唇から赤く染まりゆく。真っ赤な真っ赤な一匹の蝶。鮮血の蝶が空に羽ばたき、太陽を目指して一直線。羽が雲に触れたなら、雲は赤く染まるから、雲を避けながら舞い踊る蝶。星を横目に月を超え、蝶は太陽に着地する。蝶は足から焼け焦げて、哀しげな声で灰になる。蝶の涙は太陽に落とされ、太陽が真っ赤に染まりゆく。真っ赤な真っ赤な一つの太陽。発散される美しき赤光。赤い光はあらゆるものを赤く染める。赤い星、赤い月、赤い樹々、赤い地球と赤い人間。真っ赤な一つの世界。愛と幻想の赤の色。

季山時代
2024.01.25